Jazz Drum Set Tuning #1 - Straight Ahead Jazz -

僕が最初にTune-Bot (初代)を買ったのはただの物珍しさからでした。

当時住んでいたアパートのルームメイトのうちの1人が絶対音感を持っていて、たぶん会話の流れか気まぐれで、僕がブライアン・ブレイドの演奏しているYouTubeを見せてドラムの音程を教えてくれと言ったんだと思います(どの動画かは忘れました)。

そうしたら低い方から(バスドラムから)順にD, A, D, Aだと言われました。

そのあとジャック・ディジョネットの教則ビデオも見てもらったりしつつ、僕はなるほどと思ったのでした。

それ以降、練習、セッション、リハーサル、ライブなどでいろいろ試したり、有名なドラマーのチューニングなどを見聞きしたりして、次のチューニングにたどり着きました。

14” x 6.5” スネア : 196Hz=3G

(② Top: 356Hz / Bottom: 285Hz)

12” x 8” タム : 175Hz≒3F

(③ Top: 272Hz / Bottom: 326Hz)

14” x 14” フロアタム : 117Hz≒2Bb

(③ Top: 191Hz / Bottom: 230Hz)

18” x 14” バスドラム : 78Hz≒2Eb

(③ Batter: 129Hz / Front: 155Hz)

ドラムヘッドはスネアの裏面だけがRemo Ambassador Hazy Snare Sideで、他は全てCoated Ambassadorです。

まずバスドラムが2Dでなく2Ebになったのは、2Dだとちょっと低いからです。

実際に叩いてみるとそうは思わないかもしれないですが、ドラムっていうのは自分が叩きながら聞こえる音と客席にいて聞こえる音とでは印象が変わります。

いろいろチューニングを試すときには少し離れた位置から録音/録画しながら行うと良いです。

フロアタムは問題ないと思います。

コードで言うとバスドラムがルートでフロアタムが5度の音という事になります。

タムはしばらくバスドラムのオクターブ上(P8)でチューニングしていたのですが、フロアタムと一緒に叩くと完全4度(P4)の関係になり、その響きは「いつでも使える万能な音」ではないかなと思います。

と、いうのは後づけなのですが、ドラムテックでレジェンドのドラムをセットしている時にそうチューニングしたら(2Eb/2Bb/3Eb/3G)、リハーサルでタムとフロアタムを叩いたのち嫌そうな顔をしてタムのチューニングだけを変えていました。

特定のピッチに合わせていると伝えていたわけではなかったのですが、タムのピッチはフロアタムと完全5度(P5)となる3Fになっていました。

ということで、ドラムセットのそれぞれの音をコードの一部として捉えても良いし、バスドラムのピッチがトニックとなるキーのスケールの一部として捉えても良いのですが、バスドラムから順にP5ずつ高くします。

バスドラムから考えるとタムは長9度(M9)の音程なのですが、タム-フロアタム-バスドラムをII-V-Iと考えると違和感はないです。

裏面(Bottom/Front)の周波数は、打面(Top/Batter)の周波数より1.2倍高くチューニングしました。

スネアドラムですがスナッピーをオフにした時の音が3Gということです。

スネアの音は好みなので、オンにした時に気持ち良い音にすれば良いです。

ちなみに絶対音感を持っている人には、スナッピーをオンにするとホワイトノイズのように音程が聞こえなくなると言われます。

裏面(Bottom)の周波数は、打面(Top)の周波数より3/4倍低くチューニングしました。

196Hzは14” x 6.5”でできる(純正律の)完全4度差チューニングの上限だと思います。

深さが違う14” x 5”とか14” x 5.5”の時には、僕なら208Hz≒3Abにします。

なぜバスドラムが2Ebなのかに戻って、自分がいろいろ試した録音を聴き比べていると、本当の僕の好みの音は実は2Eでした。

しかし5度ずつ上げてチューニングするとフロアタムは2B、タムは3F#になります。

するとスネアとタムが半音差でぶつかります。

すごく変というわけではないですが、いろいろ音楽理論を知っているとこれはちょっと避けたくなります。

2Bのフロアタムは悪くないですが、低い方がフロアタムっぽさが引き立ちます。

あと、決定的なのは、みなさんジャズドラムを始めて最初に演奏した2、3曲のうち1つはFブルースじゃありませんでしたか?

ConfirmationもFです。

あとBbブルースっていうのも良くあります。

Tenor Madnessとかですね。

トランペットはBb、アルトサックスはEb、テナーサックスはBb管です。

だからF, Bb, Ebっていうのはジャズの音、ジャズのキーって言ってしまっても良いと思います。

そうすると2E/2B/3F#/XXではなく、2Eb/2Bb/3F/XXの方を選ぶ理由ができてしまいます。

これはバップの曲とかジャズ・スタンダードを演奏する時には最適だと思います。

もっと高くしたければ2F/3C/3G/XXも良いと思います。

逆にコンテンポラリー・ジャズの曲が多いライブの時、シャープのついたキーの曲が多い時は2E/2B/3F#/XXや2D/2A/2E/XXにするのもありです。

曲調や、表現したいスタイルによってはタムがP8となる2E/2B/2E/XX, 2D/2A/3D/XXでも良いでしょう。

どうでしょうか?

これでドラムセット全体のチューニングを試してみてください。

僕はこのチューニングに捉われて、逃れられなくなりました。

「ただ好きな音」というだけでなく、これ以外にする理由がないからです。

次回以降はそこから抜け出すチューニングを紹介していきます。

[おまけ]

バスドラムを始まりとして考える代わりに、フロアタムを中心にしても良いです。

そうするとフロアタムがルート/キー(またはトニック)として、バスドラムを5度の音にするとしっくりきます。

ということはフロアタムからP4下の音になります。

タム、スネアはそのままで、結果2F/2Bb/3F/XXとチューニングします。

これはバスドラムだけを小さめにした時など(具体的には16”)、特に良いです。