ライブ配信には色々な手段と方法があるのですが、僕が最近携わったものをまず紹介したいと思います。
今回はドラム演奏の配信ですが、他の楽器やバンドにも応用はききます。
隠していたわけでもなく、かと言って公表することもなかったのですが、僕はジャズドラマーのカール・アレンのドラムテックを2015年からやっています。
カールと僕についてはいずれ詳しくブログにしたためても良いかなと思うのですが、とにかく先日、彼のライブ配信のセットアップをしました。
僕としてはかなり上手くいったと思っています。
反省、改善点なども含めて説明していきます。
まずドラムセットですが、サイズはジャズ用です。
ドラム類はDWのJazz Seriesの14”スネア、10”サイドスネア、10”タム、12”タム、14”タム、18”バスドラム。
シンバルはジルジャンの14”ハイハット、20”ライド、22”ライド、20”フラットライド、18”クラッシュ、8”トラッシュフォーマーです。
マイクはEarthworksのDK25と言うマイクセットだと思うのですが、細かく確認していません。
3本のセットで、そのうち2本をオーバーヘッドに使い、1本をKickPadと言う物を取り付けてバスドラムを録ります。
オーバーヘッドは無指向性なので、バツの字にXYで使わず、ドラムの左右に立てます。
配信には、最近アメリカで流行ってるのかなと思いますが、Mevo Plus (ミーヴォプラス、以下Mevo)を使いました。
日本のAmazonでも並行輸入しているようですし、日本語で初代(Mevo)についての記事も見かけるのですが、日本でも出回っているのでしょうか?
最初は「なんでこんなガジェットを使う必要があるんだ。パソコンで使えないし、iOSで無理やり苦労して使わないといけないし。音楽用機材を繋げるには周辺機器も必要になるし」とは思ったのですが、これがかなり優れモノでした。
ともかくコロナの影響でアメリカでは使う人が急増しているようです。
MevoはiPhoneまたはiPadからアプリで操作します。
iOSデバイスをMevoからのWi-Fiで繋いで、各種プラットフォームからライブ配信をすることができます。
Mevo単体では試していないので、説明は省きます。
そして周辺機器のMevo Boostというものがあります。
長時間用バッテリー兼、LANケーブルコネクター兼、オーディオインターフェイスコネクターです。
もちろん電源に繋げることができます。
まず、(当たり前のことですが、)LANケーブルに繋げること自体で配信が安定します。
iOSデバイスはMevoを操作するただのコントローラーで、Mevo自体がカメラから直接配信するのです。
今回はFacebookで配信しましたが、YouTube他でも配信できます。
カメラ自体は4Kで撮影でき、配信は最高HD1080pで行うことができます。
オーディオインターフェイスとして繋ぐことができるものは色々あると思うのですが、カールが所有していたのはZoom H6とL-8でした。
Mevoはパソコンではないので、接続の仕方にクセがあります。
H6と接続、使用している人を2、3件ネットやYouTubeで発見したのですが、L-8を使用している人は見つけることができませんでした。
ただ僕は、ドラムにマイクを立てることが決まっていたのでどうしてもL-8が使いたかったのです。
H6は複数のマイクが取り付けられるのでハンディレコーダーとして素晴らしいのですが、パンやレベルを調整するにはスイッチが2つしかないので、各マイクを設定するミキサーとして使うのにはなかなか手間がかかります。(5つのノブはゲインです。)
一応、H6でも繋ぎ方はわかりました。
ネットで見つけた方法には一部不完全があることもわかり、以下の通りです。
1. H6に電池を入れて、マイクを繋げて、電源を入れる。(Mevo Boostからは供給されません)
2. 録音ビットレートを48kHz/16bitにする。
3. Mevo Boostに繋げる。
4. オーディオインターフェイスモードにする。
5. PC/Mac using battery powerを選ぶ。
6. Stereo Mixを選ぶ。(XYマイクだけの時はMulti Truckでも良いです。)
7. MevoアプリでオーディオインプットにUSB Audioを選ぶ、Mevoのマイクをオフにする。
L-8だと、これはミキサーなので各種調整が楽です。
僕はミキサーの使い方についてはまだ勉強中で、ジャズドラムの配信ならいいだろうというのもあり、エフェクトはかけていません。
部屋はリビングルームでまあまあ広めで、天井も高いです。
自力でMevoへの繋ぎ方を探し出しました。
1. 電池を入れて、マイクを繋げて、電源を入れる。
2. 録音ビットレートを48kHzにする。
3. オーディオインターフェイスモードにする。
4. 接続先にiOSを選ぶ。
5. Mevo Boostに繋げる。
6 MevoアプリでオーディオインプットにUSB Audioを選ぶ、Mevoのマイクをオフにする。
繋ぎ終わった後の音の確認ですが、iOSのMevoアプリ上でも確認できますが、なぜかモノラルでしか聞けません。
「どうしてなんだろうか?」と接続と再格闘しないように。
配信を始めると、ちゃんとステレオミックスされて聞こえます。
なので本番の配信をする前に、以下の作業が必要になります。
1. ドラム→マイク→L-8(またはH6他)でまず音の調整をする。
2. L-8でドラム演奏を録音する。(自分はドラムとL-8のすぐ側にいるので)
3. L-8で録音された音の確認をする。
4. Mevo Plus, Mevo Boostと接続する。
5. 自分だけに配信をする。
6. iPhone, iPad, パソコン他で配信を見て、音の確認をする。
機材を繋いだMevoと、iOSのMevoアプリを接続するとボタンを4つ押すだけで配信ができます。
(その前に、Mevoが撮影している画像のどこの範囲を配信するかを選ぶこともできます。要するにクロップして配信することができます。複数の範囲を選択してマルチ画面での配信もできます。ただ、一画面で配信する場合、クロップすると画質は下がります。)
まず赤いボタンを押すと配信先がずらっと表示され、今回はFacebookを選びます。(初回だとログインが必要です。)
そして配信元のアカウントを選びます。(個人のページ以外にグループページがある場合、複数表示されます。)
(誰に向けて配信するかと、画質も選べます。)
そしてGO LIVEを押すと配信が始まります。
グループページだと無理ですが、個人のページの場合、プライバシー設定で配信を見ることのできる対象に自分だけを選ぶことができるので、アプリではそれを選択します。
細かい設定はアプリではできません。
自分で演奏しながら配信の確認をするには、Mevoを繋いでいる物(配信中は常に開いておく必要があります)と別のデバイスでFacebookを確認し、プライバシー設定で特定の友人を選ぶことができます。
設定が終われば、その友達に電話してパソコン等で配信を確認してもらうと良いと思います。
まとめると、今回の配信ではこうなりました。
ドラムセット [カールがiPhoneで配信を確認しながら]
↓
ドラムマイク3本&喋り用マイク(Shure SM58)
↓
L-8 [僕が調整、自分のiPhoneでも配信を確認]
↓
Mevo Boost & Mevo Plus [iPadで操作]
↓
LANケーブル&電源ケーブル
Facebookで配信をした時に表示される説明文ですが、Mevoアプリでは50文字ぐらいしか打てないので、配信を始めた直後に僕がカールのiPhoneでFacebookアプリから編集しました。
その後、カールにiPhoneを手渡ししています。
あと、喋らない時には喋り用マイクをオフにして、喋ろうとしたらオンにしています。
最初は喋る時にドラムマイクをオフにしていましたが、中盤からは喋りと演奏がシームレスになってきたので、それはやめました。
喋り用マイクでもドラムの音を拾っていますが、オフにしない方が良いときはオンのままです。
配信後、動画はFacebookに保存、Mevoでも保存でき、音はL-8で録音することができます。
反省点
1. なぜか0.5秒ぐらい音が飛ぶことが数回発生している。これがどこで発生しているのかはわかりませんが、Facebook上の問題なんじゃないかと思っています。Mevoで保存した動画、L-8で録音した音は確認できていないのでわかりません。[2020/07/22 追記: Mevoに保存されていた動画でも音が飛んでいました。L-8は未確認]
2. 天井扇を止めるのを忘れていたので最初に少しノイズがある。
3. カールのマイクを持つ手の位置がかなり変わったので、音量バランスが変化した。カール側でもマイクのオンオフをしていたので、そのミスが一度起こった。
改善点
1. 喋り用のマイクをピンマイクにする。
2. L-8にはインプットの余裕があるので、その気があればスネア2台にもマイクを立てる。
カールはMevo, Shure以外の会社とはエンドースしているので、機材には恵まれていると言えます。
あと、もちろんMevoを使わず、パソコンとUSBカメラをソフトで繋いで配信することもできます。
MevoだとiOSと上手く接続させるための手段を見つける必要がありますし。
ただ、Mevoの値段と、配信の手軽さ、クオリティ、拡張性を考えると、Mevo PlusとBoostは音楽のライブ配信にはベストの選択肢の一つだと思います。
次回は、僕なら自分の手持ちの機材でどうライブ配信するかについて説明したいと思います。